【建設業】国交省が目指す公共工事の「さしすせそ」~経営の安定化×処遇改善×雇用の確保~平準化の促進に向けた取り組み

国土交通省が目指す公共工事の平準化促進に向けた「さしすせそ」をご存じでしょうか?

平成28年に作成・公表され、改訂を繰り返しながら昨年4月から本格運用されています。

公共工事において、年度内の時期により生じていた工事量の繁閑を一定にならそうという取り組みです。

公共工事では特に年度初めは閑散期、年度末にかけて繁忙期という傾向にあります。

この工事量の差によって、以下のことが懸念されています。

閑散期には「仕事が不足し、公共工事従事者の処遇に悪影響が出る恐れ」「資機材に余剰が出る恐れ」が挙げられます。

一方、繁忙期には、「仕事量の増大により公共工事の従事者の長時間労働や休暇取得への支障」「資機材の需要が高まり、円滑な調達が困難になる恐れ」が挙げられます。

上記の懸念点を改善するために、施工時期平準化に向けた5つの取り組みが行われています。

「債務負担効果の活用」

債務負担行為を活用して複数の年度にまたがる契約を行うことにより、年度当初の閑散期においても工事の施工が可能になり、施工時期の平準化につながる。
大規模な工事で工期が複数年にわたる場合、債務負担行為を設定することにより、複数年にわたる契約が締結されますが、工期が12ヶ月未満の工事でも、債務負担行為を設定することにより、年度をまたいだ契約を行うことが可能になる。(←年度末の工事量を抑えることができる。
ゼロ債務負担行為(※主に補正予算で、年度内に契約まで済ませるが、支払いはゼロである債務負担行為)を設定することにより、次年度当初から工事に着手でき、出水期までに施工が必要な工事などへの対応が可能になる。(←早い時期に契約を済ませることで、施工計画が立てやすくなる。

柔軟な工期の設定(余裕期間制度の活用)

余裕期間制度の活用により、例えば、受注者が工事開始日や工期末を選択しやすくなるなど、受注者は人材や資機材の調整を行いやすくなるため、工事の円滑な施工が見込まれる。

余裕期間制度・・・契約ごとに、工期の30%を超えず、かつ、4ヶ月を超えない範囲内で余裕期間※1を設定して発注し、工事の始期(工事開始日)もしくは終期(工事完了期限日)を発注者が指定、または、受注者が選択できる制度

余裕期間・・・契約期間内であるが、工期外であるため、受注者は監理技術者等の配置が不要であり、工事に着手してはならない期間。工事着手以外の工事のための準備は、受注者の裁量で行うことができる。

速やかな繰越手続

悪天候や用地の関係など、年度内に支出が終わらないやむを得ない事由が発生した場合年度末を待つことなく、速やかに繰越手続を開始することにより、受注者は、年度内の完成を早期に見直すことができ、余裕をもって人材・資機材のやりくりを行えるようになる。

積算の前倒し

発注前年度のうちに設計・積算までを完了させることにより、発注年度当初に積算単価を更新するだけで速やかに発注手続を行うことができる。

早期執行のための目標設定定(執行率等の設定、発注見通しの公表)

年度末に工期末が集中しないよう上半期の契約率の目標を設定し早期発注を目指す発注の見通しの公表により、受注者が人材や資機材を計画的に準備でき、円滑な施工が見込まれる

これら5つの取り組みの頭文字をとって、公共工事の平準化促進に向けた「さしすせそ」となっています。

この取り組みが順調に進めば、公共工事を受注している事業者様の負担は軽減されますね。

建設キャリアアップシステムの導入も進んでいますし、建設業界にとってはコロナ禍を乗り切る良い追い風になるのではないでしょうか。

(参照元:国交省https://www.mlit.go.jp/common/001344013.pdf
参照元では事例等も紹介されています!

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